『鈴木智惠版画展』―1枚の布から服へさらに版画へ―
5月15日(木)~27日(火)
新潟日報アートピックスに載りました。
武蔵野美術大学教授、永井研治氏のアートピックス.
鈴木智惠は、2011年に武蔵野美術大学通信教育課程版画コースを卒業し、自作の服を題材にした卒
業制作作品は優秀賞に選ばれた。鈴木は、ケーキ
等の自家製菓子作りの仕事と並行してオリジナル
の注文服を作っている。幼少時からものづくりに
熱中する性格だったという。思いを込めて作った
注文服は、完成すると自分の手から離れていく。
そうした寂しさと離れゆくものへの気持ちを動機
に、服を題材にしたリトグラフを制作している。
作品は、服とそれを取り巻く空間を卓越した技術
の下で表現している。クレヨンの微妙な濃淡によ
り、実際に見える現実世界と目には見えない思い
を絡ませ制作している。気品のある画面は、版を
重ねることで深さと豊かさを増す。こうして、個
人のために制作した服は版表現により不特定多数
の人々と関わりを持つようになる。卒業後はコン
クールや公募展で受賞を重ね、今後の作品の展開
が期待される作家である。
(武蔵野美術大学教授、永井研治)
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